2009年12月03日

運動靴と赤い金魚

運動靴と赤い金魚 [DVD]運動靴と赤い金魚 [DVD]
出演:ミル=ファロク・ハシェミアン
販売元:角川エンタテインメント
発売日:2005-08-26
おすすめ度:4.5
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「運動靴」というひとつのアイテムでこんなに深く、優しく、心打たれる映画ができるのかと、その想像力に感動してしまう。


この映画を見て、子供の頃、私の母から聞かされた戦時中の話を思い出した。
母は小学生の時、勉強はよく出来たらしい。当時、運動靴を買うのにはお金だけではだめで、学校でいい成績をとれば購入できるクーポン券のようなものがもらえ、それを何枚か持参してお金に添えてお店に行き、ようやく運動靴が買えたそうだ。母は成績が良いので券は何枚も持っていたが、お金がないので靴が買えない。その券はほかの友だちにあげていて、自分は同じ運動靴をずっと履いていたのだという。



イラン映画「運動靴と赤い金魚」に出てくる主人公の男の子、アリ(小学生)は、修理に出していた妹の靴をもらいうけに行くシーンから映画が始まる。その後の買い物の途中、妹の靴を紛失してしまうのだ。家は貧しく、靴をなくしたことを親には言えない。妹は「お兄ちゃんが私の靴をなくした、明日から学校に行けない」と泣く。
そこでアリは自分の運動靴、つまり1足の靴を妹と交代で履こうと提案する。朝は妹が運動靴を履いて小学校(女子校のようだ)に行く、下校途中でサンダル履きのアリと靴を交換し、アリはダッシュで自分の学校(男子校)に向かう。
もちろんこんな生活には無理があり、ハラハラするような日常の小さなドラマが続く。
しかし数日後、地域の"子供マラソン大会"が開催され、3等の賞品は運動靴だということをアリは知る。アリは妹のために4キロのマラソンに出場する。毎日、靴を履き替えてダッシュで通学していたため、アリの駆け足は学校で一番の早足になっていたのである。1等ではなく、3等にならなくてはいけないのだが...。


まあ全体はこんなストーリーだが、貧富の差が激しいイランの庶民生活の中で、彼らが実に細やかな優しさをもって日々の生活を過ごしていることが節々に現れており、何度も涙をさそうシーンがある。
例えば、妹が自分の靴を履いている女の子を見つけ、その子のあとをつけて家をつきとめる。兄のアリといっしょにその家の前まで行くが、盲目の父がいるその家の事情を知って、靴を返してくれとは言い出せなくなってしまうのだ。
また、アリが自分の家で作ったスープをお隣の老夫婦のところに"おすそわけ"を持っていく。老夫婦はアリにいつもありがとうね、これをお礼にとお菓子をわたそうとするが、アリはとんでもないですと遠慮するのである。

家賃を滞納していることを大声で怒鳴る大家も追い出しはしない、ツケがたまっていることをいいかげんにしろと怒る食料品店主もシブシブながら食べ物を手渡してくれる。最低限の人情は貧しい庶民の生活にはきちんと残っている。

最後のマラソンのシーンは見ている観客すべてが"がんばれ!がんばれ!"と応援し、終盤は"1等になっちゃだめ!1等になっちゃだめ!"とハラハラすること必至です。

そして、ラストシーンが本当に素晴らしい。どうして「運動靴と赤い金魚」という邦題がついたのか、ここで解ります。


なんと、ニコニコ動画に吹き替え版が6分割でアップされていました。
でも映画好きなら、DVDでいいから原語で字幕で見てほしいな。。。







kishidashin01 at 00:07│clip!映画