2008年09月14日

イブニング・スター

弊社から発売している原爆オナニーズのCDアルバムに「デザート・アイランド・ディスク」という作品がある。
たしかタイロウくんが『無人島に持っていく1枚』という思いをこめてつけたタイトルだった。

高校生のころ、音楽が本当に好きだった。
好き、というだけなら、今よりも好きだったろう。いや、自分の人生の中で一番音楽が好きだった時期は高校生の頃だったように思う。小遣いをため、昼食をぬいて昼食代を小遣いに振り替え、バイトもして、とにもかくにもLPレコードを買った。

そんな時代に、友人と話す中に、無人島にひとりで行くことになったら何のLPを持っていくか、ということが話題によくあがった。
5枚まで選べるとしたら?いや無人島には電気はないからレコードを持っていっても無駄では?そんなこと言うな、オレは電気がなくても持っていく、などなど、夢想家のような話を何度もしていた。

自分で選んだのは「クラウス・シュルツ/イルリヒト」「ピーター・ハミル/イン・カメラ」「スラップ・ハッピー」「フリップ&イーノ/イブニング・スター」の4枚は覚えているけれど、あと1枚が今は思い出せない。「ヴァン・ダー・グラフ・ジェネレーター/スティル・ライフ」だったか、「ホークウインド/宇宙の祭典」だったか。確信はないが、たぶんホークウインドだったかな。

「イブニング・スター」を初めて聞いた時は、なんだか運命的な出会いのような、そんな特別な気持ちになったことを覚えている。キング・クリムゾンのロバート・フリップと、イーノが出会って、こんなに魂を果てまで連れて行ってくれるような音楽を人間が作れるのだろうかと、心底陶酔した。

今聞けばずいぶん荒っぽい演奏でもあるし、ある程度の作曲の上のインプロだったこともわかるが、盲目的に音楽を聞いていた17才の高校生にはそんなことはわからない。ただただ無限に繰り返されるようなギターとキーボードの音に身をまかせていたのだろう。そんな風に音楽を聞く時間が、無限のようにあるように思っていた。

大人になって、この「無人島に持っていくはずの5枚」のアルバムは、とんと聞かなくなった。もちろん人には推薦するけれど、自分ではもう回数を聞きすぎて、その収録曲のほとんどを記憶しているので、今更もう聞かないという感じである。
人間の「本当に好き」な気持ちの、なんと儚いことよ。

でも今でも「イブニング・スター」のアルバムジャケットを見ると、なんとも切ない気持ちになるし、聞いたことのない人には無条件ですすめる。
「遠くに連れて行ってくれる音楽」としては今ではギャビン・ブライアーズの方が上だと思うが、やっぱり自分が死ぬ時はフリップ&イーノを選択するかもしれない。

林くんと、どういう理由かは忘れたが「イブニング・スター」というミニコミを出したことがある。80年代の終わりころだったろうか、90年代のはじめだったか。
さっぱり売れなかったことだけは覚えている。

Evening Star


kishidashin01 at 23:46│clip!音楽