2014年11月30日

イエス、キャメル

この間のイエス大阪公演、予想以上に感動してしまったのは演奏がよかったのはもちろんだけれど、アルバム「危機」「こわれもの」をアルバム収録順に完全再現ライブしたことだろう。リスナーはアルバム単位で作品を聞いているから、曲の並びで記憶しているのである。なのでそのまま演奏されると、そのアルバムを聞いていた時の時代、シチュエーション、空間、時間を思い出して、それで切ないほどに感動したのかもしれない。

ステージバックに上映された映像もよかった。先のテリー・ライリー来日公演の時の寒川さんとの映像コラボとは比べものにならない、イエスの演奏とのシンクロニシティ。音と映像はこういうふうにシンクロするべきだと思う。

夢想にすぎないが、例えばジェネシスが再結成して「フォックストロット」と「月影の騎士」をアルバム曲順通りに演奏したらどうだろう。ディープ・パープルもデビッド・カヴァーディルが復帰して「紫の炎」を曲順通りに演奏したらとか、いろいろ空想してしまう。キャリアのあるバンドの来日公演は、必然的にヒット曲を中心としてそのバンドの「ベスト・オブ」的な選曲になるのが主だろう。今回のイエス公演はそうでなかった。なにかとても新しいライブの方法論を見せられた気がする。

同じ英国のプログレバンド、キャメルもそうだ。病気が深刻で復帰は無理かもと思われていたアンディ・ラティマーが2013年に奇跡的に復活、アルバム「スノー・グース」完全再現ライブを行って、そのCDとライブDVDがリリースされたのは記憶に新しい。キャメルのライブDVD「In From The Cold」はこれまた別の意味で感動してしまう。スノー・グースの寸分違わぬ演奏もすごいが、アンディ・ラティマーのギターがとにかくすごいのだ。地獄の渕から帰って来た男とは、こういうものだろうか。ギターの1音1音にかける思い、気迫がすごすぎる。見ていて涙が出た。

音楽モノのライブDVDは普通は何度も見るものではないかもしれないがこの「In From The Cold」は何度も繰り返して見る価値のある、素晴らしい映像だ。音楽はやっぱり素敵だ。そう思える。

Camel - In From The Cold 2014 - Part 1 - The Snow Goose 
https://www.youtube.com/watch?v=gsUKPkc0ud8

Camel - In From The Cold 2014 - Part 2
https://www.youtube.com/watch?v=OYSH5Nywmek


kishidashin01 at 22:00│clip!音楽