2010年09月22日

モチベーションのありか

ミュージックマガジン最新号に、非常階段単行本のレビュー掲載。
書いてくれたのは音楽評論家の小野島大さん。

小野島さんとは20年くらいのつきあいになるが、もちろん彼は音楽評論のプロなわけで、この本の内容を、それほど多くない文字数で、内容を的確に紹介しながらそこに書かれている意味をつつがなくかいつまんでとりあげてくれている。
将来、音楽評論家などを目指している人がいるなら、ぜひ読んで欲しい文章だ。
観念的に音楽を評論するライターはたくさんいるけれども、小野島さんのようにしっかりした紹介を含む評論を書ける人はだんだん少なくなっているように思うからである。

小野島さんのラスト部分、非常階段単行本メインライターの野間さんもtwitterで『痛いとこを突かれた』と書いていましたね。

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ただ、事実関係の検証を中心に描かれているぶん、首謀者である広重個人の思いや葛藤、感情の襞のようなものは、さほど語られない。
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そう、この単行本には非常階段がどのように結成され、どのようにノイズ音楽が日本に育っていったかは見事に描かれているが、「じゃあ、広重さんはなぜノイズに至ったのか?なんのために演奏を続けているのか」は、実は書かれていない。

例えば1972年、私は中学1年生の時に、頭脳警察のサードアルバムに収録されている楽曲「前衛劇団モータープール」という曲を聞いて、この曲の中間に2度展開されるグシャグシャなインプロ部分のみを演奏するようなバンドはないのかと考え、数年後に山下洋輔トリオに出会った時に「こういった音楽がどこかにあると思っていた」と感じている。
つまりは音楽を聴き始めてごく初期の段階で、非常階段の原型になるような音楽スタイルを考えているのではあるが、じゃあなぜ13才の少年が「前衛劇団モータープール」のインプロ部分に強烈に関心をむけたのかは、この本のどこにも書かれていない。

しかしそんなことを本の中に描くには、まったくもってページ数がたりない。
JOJO広重がなぜノイズ音楽を演奏し続けているのかとか、その源泉を小野島さんはもっと読みたかったと言っているわけで、正直1冊の単行本でそこまでは無理だったと思う。

JOJO広重はいくつもの事柄が複雑に絡み合って出来上がった人間で、そのことのひとつひとつの細かい内容がノイズとか歌とか音楽に染みこんでいる。
例えばkankotoさんがブログで先日の穂高亜希子の「いつか」のバックで私が弾いたギターの音色をほめてくれたけれど、あの音は私にしか出せないし、私のギターがあの音に至る理由も意味ももちろんあるわけで、それを文章にするには膨大な時間がかかる気がする。

ただ、徳島の小西さんがハードスタッフ13号でJOJO広重特集をしてくださることが決定しており、そこでは私個人の成り立ちをずいぶん深いところまでつっこんだ内容になるはずである。小野島さんが知りたかったJOJO広重の「モチベーションのありか」まで必ずハードスタッフ13号に描かれるかどうかはまだ保証できないが、それでも楽しみにしていただければいいなと、思っている。




kishidashin01 at 23:14│clip!音楽