2010年01月18日

マキさん

浅川マキさんの訃報は、東京から大阪に戻る新幹線の中の、ニュース電光掲示板で知った。

浅川マキさんのコンサートは1970年代に京大西部講堂で見た記憶があるが、黒で塗り固められたようなステージにぼぅとしたスポットライトに当てられたマキさんがまさに"ダークネス"だったことはかろうじて覚えている。というのも「かもめ」くらいしか私は彼女のことを知らず、どちらかと言えば洋楽に傾倒していた私にはそんなに興味のあるシンガーではなかったからだ。

初期のアルバムを3−4枚聞いて、その後はそんなに興味を持っていなかった。


アルケミーレコードを運営し、音楽関係者から時々マキさんの話を持ちかけられることがあった。そもそも数年に1回という程度だけれども。
いわく、新作をレコーディングしたいので、レーベルを探している、というものだ。又聞きなので真偽はさだかではないが、大手レコード会社はマキさんの新作をレコーディングする経費はなかなか出せない、しかし弾き語りのような安い録音のものをマキさんが望むわけはなく、ミュージシャンをそろえてリハもしてそれなりのスタジオでレコーディングすれば数百万はかかる。その経費をかけてリリースしても短期では経費回収は難しい。不景気、CDが売れない時代と言われるようになり、こういった企画や要望はますます難しくなっていた。

マキさんに限らず、同様の大物ミュージシャンは同じような悩みをかかえているのではないか。レコーディング経費と売上見込みのバランスの問題が解消されない以上、新作がリリースできないというのは、なんだかどちらも不幸な気がする。

どちらにせよ、マキさんには何の落ち度もない。
ご冥福をお祈りします。


kishidashin01 at 23:59│clip!音楽