2009年09月28日

「BET」

8月に東京でもらったミニコミのことを書くのを忘れていた。

「BET」VOL.0 創刊準備号

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発行人は、知っている人は知っている"ばるぼら"さん。
内容は関西NO WAVEの連中もお世話になったり掲載されたりもした自販機本、特に「X−MAGAZINE」、「Jam」、「HEAVEN」らの全冊レビュー、吉祥寺マイナー特集などが掲載されている。

特に私たちにはライブハウス・吉祥寺マイナーについての歴史、出入りしていた人脈などの話がおもしろいね。
マイナーは工藤冬里くんや灰野さん、ガセネタなどが出演していた伝説的なライブハウスだった。
マイナーのライブデータも「不完全」とはうたっているが、詳しく十分な内容だ。
例えば79年の3月24日には「うごめく・けはい・きず」という名前のライブで、ファーストノイズ、黒涯槍、ガセネタ、不失者、オッド・ジョン、アーント・サリー、ウルトラビデ、INUが出演したこともちゃんと記載されている。

こういったことをきちんと記録している人、記録できる人がいるとは思わなかった。
だいたい当時の東京のアンダーグラウンドな人たちというのは、理屈はもっともらしいことを並べているが、実際はてんでいい加減で、いばってばかりいた連中、という印象が強い。もちろん当時の東京の人でいい友人は当時も今もたくさんいるが、「きちんと」した人はあまりいない。(笑)

なので、ばるぼらさんのこの仕事は、見事だと思う。美川くん、コサカイくん、松山晋也さんあたりに読んでもらい、感想などもきいてみたいな。


で、この本の編集後記がいかしている。

『自分がやっていることは一種のカウンターだと考える。よく判らないもの、まだぼんやりとしか理解していないもの、判断できないもの、皆が知らないもの――そういったものの情報や資料をまとめて、一つの世界観を呈示し、皆に報せたい、消費させたいという欲望がある。「昔は良かった」と爺婆が語る伝説や、一部の人達にだけ独占されている知識・価値観の正体を暴いて、誰もが共有できるものに変えてしまう、時には幻想を剥ぎ取ってしまう、消費しにくいものを消費しやすい形に変えてしまう、そういった行為が自分の役割だと思う。だから本誌は当時を知る人間に対しての懐古/回顧サービス業ではなく、「お前達が大事にしている秘密はこういうことだろう」と突きつける反抗のつもりだ。現代に通じる文化の源流の再確認という意図は、実はあまりない。』

そうですね、ばるぼらさん。
はい、我々はエンターテインメントではあっても、サービス業じゃあないんです。

でね。
過去のことを知ったように書いて、実際は当時その場にいなかったのにいたように書く/言うやつら、たいしたこともしていないのになにかをしていたように書く/言うやつらも非常に多いのだ。

この間のアップリンク・ファクトリーのトークショーで、司会の松村さんに『広重さんは赤裸々だ』と言ってもらえたけれど、自分のしょうもないところはしょうもないでいいのだと思うからだ。だから私は赤裸々に書き、赤裸々にトークショーで話すのです、松村さん。

賢いふりをするバカ、わざとバカなふりをして実は賢いのだと思わせようとするバカ、クズのくせにクズでないように見せようとするクズが世間にはあまりにも多い。
それが見えた時、あまりにも人間が卑小に見えるのだ。


「BET」は品切れ中が多いようだけれど、要望すれば入荷することもあるみたい。
Lilmag store
たぶんここでしか入手できないと思うので、店主にリクエストしてみてください。


wikipedia「ばるぼら(ライター)」

kishidashin01 at 18:34│clip!読書