2009年08月24日

君は右腕をさし出せるか

坂田明さんのコラム原稿をネットで探していた時に、新聞読者の投稿欄からの引用だろう原稿でいいのありました。

こういうの、ホント弱いんですよー。


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こだま  2009.4.28 中国新聞

「優しい一言」 広島市安佐南区 食品小売業 小林まき 79歳


主人が亡くなって25年。

子どもさん相手の小さな駄菓子店をやっている。

10年前くらいから体調を崩し、外出するのは月1回、通院する日だ。

ある日、4,5人の子どもたちが店に来た。

その時、私はちょうど電話がかかり、レジを離れていた。

子どもたちは大抵小銭を持っていて自分で支払いを済ませる。

この日は1人だけ500円玉1枚の子どもがいて10円のガムを1個握って、

おつりを待っていた。

「ごめんね。今、足が痛いから。また来てね」

3年生くらいのその小さな男の子は、自分の右腕を私の前へ差し出してパンパンとたたいた。

「ここへつかまっていいよ」

「なんぼ男の子でも私がすがったら、ぼくの方がこけてしまうよ」

結局、私はその男の子の勇気に励まされ、レジまで行き、おつりを渡してガムを売った。

そして言った。

「ありがとうございました」

その子もニッコリして店を出た。

さわやかさとともに残念さも残った。

私は名前を聞くのを忘れていたからだ。

今朝も食事をしながら、あの日のことを思い出した。

涙が出た。

「何と優しい子」

きっと素晴らしい家族の方たちと幸せに過ごしているのだろう。

赤い時計をしていた。


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