2009年03月31日

思い出したこと

非常階段30周年記念CDボックス30枚組の編集にあたり、古いテープを掘り出して聞いている。

いやー、まったく、すべてがおもしろい。
例えばJOJO広重+頭士奈生樹の一番最初の非常階段の音源だけでCD3枚分はある。
新宿ロフトで小便やゲロやミミズやゴカイや牛乳をぶちまけていた時代のスタジオ練習テープ(やけにまじめにフリージャズしてる!)、不気味なほどのシリアスなライブ音源、1983年スターリンとの合体バンド・スター階段の妙に音質の良いライブ録音源、SOB階段、サバート階段の未発表音源、阿鼻叫喚のライブ音源が続々。これは30枚に収まりきらないどころか、セレクトする中で収録を見送るのが惜しい音源がたくさん出てきそうだ。

初期非常階段の音を聞いていると、つまりは私が19才、20才のころにやろうとしていたことは、今私がやっていることのエッセンスが全部入っている。
ハーシュなノイズ、フリージャズ、ロック、現代音楽、ノイズ+歌、サイケデリック、ダークな部分、ブラックジョーク、プログレへのオマージュ、ありとあらゆるパロディ。
もちろん時代としては完全に早すぎるわけで、それでも押さえきれないものがあふれ出している感覚がよくよくわかる。


10代前半にロックを聞いて、そしてピンク・フロイドを聞いて、なにか深遠な世界がそこにあるように思って、ありとあらゆるプログレッシブロックのレコードを聞きまくったのだけれど、ある日、気がついた。
あ、ピンク・フロイドはブルースだ。なにも深淵な思想や、心の奥の奥をえぐるようなことをしているのではなく、ブルースなのだと。イエスはロックンロールだった。ひとつのフレーズが異常に長いのだけれど、1番・2番・サビ・3番・エンディングという普通は2分の曲を20分かけてやっているだけなんだと。キング・クリムゾンはとんでもない演奏をしているようだが、変拍子を各自がやってはいるが、お互いがある回数をやるとどこかで数があうという"数学"なのだということ。
17才くらいの時に、そんなふうに思った。

オレが探しているのは、もっともっと気持ちのどん底からわき出るあぶくのような、もっとどす黒く、繊細で、エネルギッシュで、耳から入って相手の心の奥底に届くような音。それはこんなプログレなんかじゃ無理なんだと。
それって、即興じゃないと出てこないんじゃないかと思ったんだな。たぶん17才とか18才の時だ。そしてウルトラビデや非常階段に至ったんだなと、なんだか今日、思い出したよ。


そんな気持ちが30年も続くなんて、もちろんそんなことは思ってなかった。やめなかったのは自分の精神力だけじゃなくて、音楽で出会った人たちの存在だと思う。先日のインタビューの中でFMNの石橋くんが『BIDEに出会ってなかったらこんなことをやっていなかった』と話していたが、林くんと出会わなかったら美川くんがノイズなんてやっていなかったように、誰もが誰かに会い、そしてなにかが始まり、その人がいたから/いるから今もやっているのではないかな。そしていつしか自分が人に影響を与える人間になって、自分が人からしてもらったことの何倍かをも人に返しているのだ。そうに違いない。

しっかし!
なんでノイズなんだろうね。
そして、なんてノイズって面白いんだろう。



kishidashin01 at 23:59│clip!音楽