2008年09月15日

それでも私は

FMNサウンドファクトリーの石橋くんのblogに興味深い書き込みがあり、思わず反応してしまった。
FMN SOUND FACTORY

CDっていったいなんなんだろう、これからどうなるのだろうという疑問と不安は、ミュージシャン、大手レコード会社、インディーズレコード会社、CD流通業者、輸入盤業者、大手CDショップ、小さなCDショップ、中古盤屋、ツタヤなどのレンタル屋、プレス業者、レコーディングスタジオなどには大きな問題である。

私はあと20年と書いたが、別にCD制作が20年先までもつということではなく、なにがしかの活動できるのが20年くらい(石橋くんや我々の世代は70才になってしまうので)ということだ。

実はCDショップはあと2年と言われている。アマゾンとタワー、ユニオンくらいは残るかもしれないが、他はショップだけでは無理だろう。別の売上をたてる営業をするか、インターネット上でなにかをしなくてはいけない。

CDという形態も残るだろうが、もっと形態は変わるかもしれない。最近のロシア盤のように、MP3圧縮の音楽データのみを収録したCD-ROMかDVD-ROMかブルーレイDISKみたいな形になるのではないかな。石橋くんの書き込みを見るとヘンリー・カウの10枚組BOXが出るらしいけれど、MP3に圧縮すればおそらくCD-ROM1枚で収まってしまうからだ。

携帯音楽プレイヤーもCD、MD、カセットのものはほとんど駆逐され、i-podを中心にしたデジタルのものが圧倒的だ。とすれば音楽の聞き方自体がもうそういう方向であるから、やはり音楽は最初からMP3のデータでいいということになる。MP3データでいいのにわざわざ「圧縮しなければいけない」WAVEファイルにしてCDで販売しているのは、あきらかに時代にあっていない。
そもそもデータを買うのにCDショップにフィジカルに出かけて行かなくてはいけないのは、道理にあわない。ネットショップで買うか、誰かにコピーしてもらえばそれでいいからだ。

高倉さんが『どんなに本が売れないと言ったって、本屋がなくなるわけでもなければ、本を読む人がいなくなるわけではない』と希望に満ちた言葉を残しているが、音楽に関して言えば『どんなにCDが売れないと言ったって、CDショップやメーカーはなくなるかもしれないが、音楽を聞く人がいなくなるわけではない』となる。
音楽は本ではないし、映画でもない。本は読まなくてはいけないという労働がどうしても必要(音楽は聞きながせる)、映画は映画館上映>DVD販売>テレビ放送という転売先が2種+海外マーケットがある。音楽はもっともっと安易にコピーできてしまう。そして日本のポピュラー音楽はノイズを除いてほとんどは海外に転売できない。

唯一、ノイズという音楽は、パッケージされていることに意味があるため、普通のポピュラー音楽よりCDやレコードなどの形は長く残ると思う。
リスナーがコレクターとしての意味合いの絆が強い種類の音楽であることも理由のひとつだけれども。


それでも我々は
『こなごなに砕かれた 鏡の上にも  新しい景色が映される』
と、希望の言葉を語るべきだろうか。

まめぴよちゃんのような、我々の音楽の一番若いリスナーに、生な意見を聞きたいところである。


kishidashin01 at 23:12│clip!音楽