2011年04月
2011年04月20日
My Room
ネットで「大友良英のJAMJAMラジオ」のポッドキャスト版を聞いていた。
FMNサウンドファクトリーの石橋さんがゲストの回を聞いていたら、彼がレーベルを始めるきっかけを話していたのだけれど、レーベルを始める以前にヨーロッパのフリージャズの面々の来日コンサートをたくさん主催していて『彼らはすごいんだけれども、すごいだけでおもしろくないことに気がついて』、それから日本のアーティストの方がおもしろいことに気がついた旨の内容だった。
この「すごいのだけれども、おもしろくない」というのは非常に達観した見解だと思う。
普通の人は有名ミュージシャンのライブを見て、すごいと思うだけでたいがいは満足してしまう。
すごいとおもしろいは違うのだという見方が出来る人間は、実はそうそうはいないと思う。
もうひとつ、今日はtwitterで「ピーター・ハミルの1986年京都公演の録音をお持ちの方はいませんか」と尋ねてみたところ、数十分で「ありますよ」と返事をいただき、その方はたいへんに親切にネットに音源をあげていただき、無事ダウンロードさせていただいて聞けることになった。
この1986年のハミル初来日公演は、彼が唯一バックメンバーのサポートなしで、単独ソロで来日した演奏なのである。
また私が初めてハミルの実物を見たライブでもあったわけで、生で彼の演奏を目の前で見れることだけですでに感動していた記憶がある。
アンコールの時、ハミルがタバコを片手に登場、アカペラで「アゲイン」を歌った光景は今でもすぐに追想できるくらい、克明に記憶している。
提供してくださった名も知らないフォロワの方、ありがとうございました。この音源は25年以上、ずっと聞きたいと思っていた音源でした。夢がまたひとつ、叶いました。
FMNサウンドファクトリーの石橋さんがゲストの回を聞いていたら、彼がレーベルを始めるきっかけを話していたのだけれど、レーベルを始める以前にヨーロッパのフリージャズの面々の来日コンサートをたくさん主催していて『彼らはすごいんだけれども、すごいだけでおもしろくないことに気がついて』、それから日本のアーティストの方がおもしろいことに気がついた旨の内容だった。
この「すごいのだけれども、おもしろくない」というのは非常に達観した見解だと思う。
普通の人は有名ミュージシャンのライブを見て、すごいと思うだけでたいがいは満足してしまう。
すごいとおもしろいは違うのだという見方が出来る人間は、実はそうそうはいないと思う。
もうひとつ、今日はtwitterで「ピーター・ハミルの1986年京都公演の録音をお持ちの方はいませんか」と尋ねてみたところ、数十分で「ありますよ」と返事をいただき、その方はたいへんに親切にネットに音源をあげていただき、無事ダウンロードさせていただいて聞けることになった。
この1986年のハミル初来日公演は、彼が唯一バックメンバーのサポートなしで、単独ソロで来日した演奏なのである。
また私が初めてハミルの実物を見たライブでもあったわけで、生で彼の演奏を目の前で見れることだけですでに感動していた記憶がある。
アンコールの時、ハミルがタバコを片手に登場、アカペラで「アゲイン」を歌った光景は今でもすぐに追想できるくらい、克明に記憶している。
提供してくださった名も知らないフォロワの方、ありがとうございました。この音源は25年以上、ずっと聞きたいと思っていた音源でした。夢がまたひとつ、叶いました。
2011年04月18日
twitterの世界
3.11.以降、twitterもずいぶん変わってしまって、ちゃらけたツィートは出来なくなりつつあり、ちょっと方向を間違えると魔女狩りのように糾弾されてしまうのではないかという雰囲気もある。
やたら政治的な発言も増えた。今までそんな発言をしてこなかった人も「実は昔からこういうふうに考えていた」的なムードで、それらしいツィートをRTしたり、政治の対応のまずさや失言をことさら強調することが政治的意識の高さのような風潮もある。
そういう意味ではかなりげんなりしている部分もあるのだが、フォローをはずしたりすると相手が傷つきそうだし、どうせならもう一切見ないようにするか、とも思うが、どうもそうはいかなさそうである。
そんなものでなにもかわりはしない。
いや、変わるかもしれないが、時間がかかるのだ。
少なくとも君が思っているようなスピードでは変わらない。
成就する前に君は失望するにきまっている。
もし私がこういえば、君は私を非難するだろうか。
例えばアルケミーレコードが出しているあるアルバムが、君はとても素晴らしいと思う。
自分は素晴らしいと思うから、いろいろな人に薦める。
でも薦めた人全員が同じように素晴らしいと言ってくれるわけではない。むしろ素晴らしいと思う人の数のほうが少ない。
素晴らしいと思わない人は、間違っているのだろうか?その音楽を素晴らしいと思う人は絶対に正しいのだろうか?
今のtwitterの雰囲気は、それを素晴らしいと思わない人は間違っている、というようなムードがする。素晴らしいと言わなければ叩かれる、そんな恐怖心すらただよっている、そんな風に思うのは私だけなんだろうかね?
いつだったか、とあるバンドのメンバーから久しぶりに電話がかかってきたと思ったら、「公明党に入れてください」という内容で、非常にげんなりした記憶がある。
twitterの中で「この政治家に投票するのが正しいんですよ、その政治家に投票するのは間違っていますよ」なんていうツィートがあまりにも増えてくるようなら、きっと私はtwitterをやめると思うなあ。
そうならないように、祈る。
やたら政治的な発言も増えた。今までそんな発言をしてこなかった人も「実は昔からこういうふうに考えていた」的なムードで、それらしいツィートをRTしたり、政治の対応のまずさや失言をことさら強調することが政治的意識の高さのような風潮もある。
そういう意味ではかなりげんなりしている部分もあるのだが、フォローをはずしたりすると相手が傷つきそうだし、どうせならもう一切見ないようにするか、とも思うが、どうもそうはいかなさそうである。
そんなものでなにもかわりはしない。
いや、変わるかもしれないが、時間がかかるのだ。
少なくとも君が思っているようなスピードでは変わらない。
成就する前に君は失望するにきまっている。
もし私がこういえば、君は私を非難するだろうか。
例えばアルケミーレコードが出しているあるアルバムが、君はとても素晴らしいと思う。
自分は素晴らしいと思うから、いろいろな人に薦める。
でも薦めた人全員が同じように素晴らしいと言ってくれるわけではない。むしろ素晴らしいと思う人の数のほうが少ない。
素晴らしいと思わない人は、間違っているのだろうか?その音楽を素晴らしいと思う人は絶対に正しいのだろうか?
今のtwitterの雰囲気は、それを素晴らしいと思わない人は間違っている、というようなムードがする。素晴らしいと言わなければ叩かれる、そんな恐怖心すらただよっている、そんな風に思うのは私だけなんだろうかね?
いつだったか、とあるバンドのメンバーから久しぶりに電話がかかってきたと思ったら、「公明党に入れてください」という内容で、非常にげんなりした記憶がある。
twitterの中で「この政治家に投票するのが正しいんですよ、その政治家に投票するのは間違っていますよ」なんていうツィートがあまりにも増えてくるようなら、きっと私はtwitterをやめると思うなあ。
そうならないように、祈る。
2011年04月16日
土曜日の本
ドラえもんのエピソードで「人生やりなおし機」というのがあって、この未来の機械があれば他のドラえもんの機械はほとんどいらないんじゃないかと思っていた。
今日は川崎クラブチッタへ。
U.K.の来日コンサート。
私の過去のブログ記事「武藤くんのこと」に記載したように、1979年に武藤くんと二人してチケットまで購入しながら、螺旋階段のバンド練習を優先するために結局行かなかったU.K.の初来日コンサート。
その後U.K.は解散。再結成もなかったため、二度と見ることはないと思っていた。
さらに武藤くんはU.K.のコンサートを犠牲にしてまでして練習した螺旋階段のバンドも脱退したため、武藤くんには本当に悪いことをしたと、私もずっと後悔していたのである。
U.K.はなにか心の奥にひっかっかった小骨のような存在だった。
そのU.K.が2011年になって再結成して来日公演をするという。
これは1979年に見そこなったコンサートをとりかえす最後の機会であり、武藤くんとの友情にひびの入ったきっかけになった経緯への最後の懺悔の機会だと思った。
私にとっての人生やりなおしである。
コンサート会場は満員だったが、若い客は皆無に近い。40代、50代がほとんどだろうか。ストレンジデイズの読者層、ユニオンプログレ館の顧客、そんな感じ。でも観客がこのコンサートに期待きている雰囲気は伝わってくる。きっとU.K.の再結成もこれが最初で最後だ。
U.K.で思い出すような曲はほとんど演奏された気がする。
「イン・ザ・デッド・オブ・ナイト」「アラスカ」「デンジャー・マネー」「サーティ・イヤーズ」「タイム・トゥ・キル」「シーザース・パレス・ブルース」...。「ナッシング・トゥ・ルーズ」と「ランデブー602」をどこで演奏するのかと思っていたら、アンコールで無事演奏された。特に「ランデブー602」はエディ・ジョブソンのピアノとジョン・ウェットンのボーカルのみという、非常にシンプルで、そしてなにか奇跡を見ているような光景だった。
キング・クリムゾン曲のカバーも3曲。ファンサービス満点。
「スターレス」はエディがデヴィッド・クロスのパートを完コピ。これは泣けた。私が高校生の頃、最も好きだったクリムゾンナンバー。
「土曜日の本」はジョンのアコギ弾き語り。これも非常に好きな曲だっただけに、嬉しい。
驚いたのは「再び赤い悪夢」。1970年代、ジョンがクリムゾン在籍時のライブでも演奏されたことはないのではないかな。アルバム「レッド」収録曲で、「スターレス」同様、好きなナンバーだった。SOB階段2のビデオのタイトルに林くんが使用した経緯もあるくらいだ。
もう十分です、十二分です。ありがとうございました。今日のクラブチッタは私にとっての人生やりなおし機でした。
今日は土曜日。
土曜日の本。
32年かかって、ようやく最後のページを閉じることができた気がするよ。
神様、こんな機会をくださって、本当に感謝します。
今日は川崎クラブチッタへ。
U.K.の来日コンサート。
私の過去のブログ記事「武藤くんのこと」に記載したように、1979年に武藤くんと二人してチケットまで購入しながら、螺旋階段のバンド練習を優先するために結局行かなかったU.K.の初来日コンサート。
その後U.K.は解散。再結成もなかったため、二度と見ることはないと思っていた。
さらに武藤くんはU.K.のコンサートを犠牲にしてまでして練習した螺旋階段のバンドも脱退したため、武藤くんには本当に悪いことをしたと、私もずっと後悔していたのである。
U.K.はなにか心の奥にひっかっかった小骨のような存在だった。
そのU.K.が2011年になって再結成して来日公演をするという。
これは1979年に見そこなったコンサートをとりかえす最後の機会であり、武藤くんとの友情にひびの入ったきっかけになった経緯への最後の懺悔の機会だと思った。
私にとっての人生やりなおしである。
コンサート会場は満員だったが、若い客は皆無に近い。40代、50代がほとんどだろうか。ストレンジデイズの読者層、ユニオンプログレ館の顧客、そんな感じ。でも観客がこのコンサートに期待きている雰囲気は伝わってくる。きっとU.K.の再結成もこれが最初で最後だ。
U.K.で思い出すような曲はほとんど演奏された気がする。
「イン・ザ・デッド・オブ・ナイト」「アラスカ」「デンジャー・マネー」「サーティ・イヤーズ」「タイム・トゥ・キル」「シーザース・パレス・ブルース」...。「ナッシング・トゥ・ルーズ」と「ランデブー602」をどこで演奏するのかと思っていたら、アンコールで無事演奏された。特に「ランデブー602」はエディ・ジョブソンのピアノとジョン・ウェットンのボーカルのみという、非常にシンプルで、そしてなにか奇跡を見ているような光景だった。
キング・クリムゾン曲のカバーも3曲。ファンサービス満点。
「スターレス」はエディがデヴィッド・クロスのパートを完コピ。これは泣けた。私が高校生の頃、最も好きだったクリムゾンナンバー。
「土曜日の本」はジョンのアコギ弾き語り。これも非常に好きな曲だっただけに、嬉しい。
驚いたのは「再び赤い悪夢」。1970年代、ジョンがクリムゾン在籍時のライブでも演奏されたことはないのではないかな。アルバム「レッド」収録曲で、「スターレス」同様、好きなナンバーだった。SOB階段2のビデオのタイトルに林くんが使用した経緯もあるくらいだ。
もう十分です、十二分です。ありがとうございました。今日のクラブチッタは私にとっての人生やりなおし機でした。
今日は土曜日。
土曜日の本。
32年かかって、ようやく最後のページを閉じることができた気がするよ。
神様、こんな機会をくださって、本当に感謝します。
2011年04月14日
ほたる石
この間の大阪・蒼月書房のライブ会場では販売されていたので、購入された方もおられると思うが、中山双葉の最新CDR作品「ほたる石」。このアルバムが、いい。
中山双葉の作品は別ユニット「鳴かず飛ばず」を含めソロのCDRが数枚、アルケミーからのCD作品「ともだちは犬だけ」(現在売り切れ/廃盤中)、P-VAINからのアルバム「つづく」があるが、「つづく」以外は入手が難しくなっている。
この「ほたる石」も、彼女のライブ活動がこれから1年は行われない予定なので、やっぱり入手が難しくなるのだろうが、それはちょっと惜しい気がする。
せめて蒼月書房には常備されて、いつでも買える状況になっていればいいなと思う。
7曲収録されているが「ニャンチャンとあそびたい」「つづきのはなし」「窓」がいいなあ。これは双葉ちゃんの世界。彼女だから書ける歌詞・曲。高野さんのベースもいい味出してますね。
自分の居場所がどこにもなくて歌を歌い出したような少女だった双葉ちゃん、いつの間にか自分の場所を見つけていましたね。
「窓」は君が10年かかってたどり着いた、君の代表曲になると思うよ。名曲ですね。
ベルリンに行っても、ちゃんと君の場所は自分で見つけると思うよ。
Facebook仲間ですものね、またドイツから近況報告くださいね。
しかし先日紹介した「柳茶屋」のCDRもそうだけど、新しいいい音楽はCDRで出て、ライブ会場でしか購入できなくなりつつある気がする。
もうそれでいい時代なのかもしれない。
2011年04月13日
記憶に残る男(1)
1983年だったと思う。
その頃、友人と起した会社ごっこがなんとか波にのり、そろそろ本格的に法人にしようということになった。
そこで事務所を渋谷にかまえることになり、不動産屋に行くことになった。
で、たまたま通りがかった新宿3丁目の伊勢丹の近くのビルの2階にあった不動産屋に入ったのだが、ここの社長が変わった男だった。
彼は不動産は適当な物件を紹介してくれるのだが、その他の雑談の方が長い。
例えばこんな話だ。
実は自分はJRのKIOSKに商品を入れる権利を持っている。KIOSKという売り場は非常に計算されており、なんでも商品がおけるわけではないし、メーカーもなんとか自社商品をおいてもらいたいと思っているが、簡単にはおけないような仕組みになっている。今ひとつ空きがあり、なにか売れそうな商品を探しているのだが、君たちなにか知らないかね。
こんな話題をたまたま店に入ってきた20代前半の若者の客に聞くのはもう尋常ではない。
またこの不動産のお店をやるようになった経緯、この新宿の一等地に店を出せるようになった神がかったような流れ、不動産の免許の看板の読み方など、もう不動産契約以外の話が延々と止まらない。
もうひとつ驚いたことがあった。
我々の会社の事務所の他に、友人が自分も引っ越しをして同じビルに部屋を借りることになった。彼の父親が保証人にならなくてはいけないのだが、彼は父親と折り合いが悪く、父親の免許証の番号を記入する部分で、電話で父親とケンカしてしまった。
するとその不動産屋の社長は「ああ、大丈夫、かまいませんよ」と、警察に知り合いがいると言ってその場で電話をして、彼の父親の免許証の番号を電話一本で確認してしまったのである。
今のような個人情報の管理にそんなに厳しい時代ではなかったという事情もあるが、その時は「いやあ、隠したって、なんでもわかっちゃうんですよ」と涼しい顔をして契約書を作成してしまうこの社長がなんだかとんでもない男に見えた。
数年後、その不動産屋があった場所は、まったく違う業種のお店になっていた。あの名物社長が今どこで何をやっているのかは、知る由もない。
その頃、友人と起した会社ごっこがなんとか波にのり、そろそろ本格的に法人にしようということになった。
そこで事務所を渋谷にかまえることになり、不動産屋に行くことになった。
で、たまたま通りがかった新宿3丁目の伊勢丹の近くのビルの2階にあった不動産屋に入ったのだが、ここの社長が変わった男だった。
彼は不動産は適当な物件を紹介してくれるのだが、その他の雑談の方が長い。
例えばこんな話だ。
実は自分はJRのKIOSKに商品を入れる権利を持っている。KIOSKという売り場は非常に計算されており、なんでも商品がおけるわけではないし、メーカーもなんとか自社商品をおいてもらいたいと思っているが、簡単にはおけないような仕組みになっている。今ひとつ空きがあり、なにか売れそうな商品を探しているのだが、君たちなにか知らないかね。
こんな話題をたまたま店に入ってきた20代前半の若者の客に聞くのはもう尋常ではない。
またこの不動産のお店をやるようになった経緯、この新宿の一等地に店を出せるようになった神がかったような流れ、不動産の免許の看板の読み方など、もう不動産契約以外の話が延々と止まらない。
もうひとつ驚いたことがあった。
我々の会社の事務所の他に、友人が自分も引っ越しをして同じビルに部屋を借りることになった。彼の父親が保証人にならなくてはいけないのだが、彼は父親と折り合いが悪く、父親の免許証の番号を記入する部分で、電話で父親とケンカしてしまった。
するとその不動産屋の社長は「ああ、大丈夫、かまいませんよ」と、警察に知り合いがいると言ってその場で電話をして、彼の父親の免許証の番号を電話一本で確認してしまったのである。
今のような個人情報の管理にそんなに厳しい時代ではなかったという事情もあるが、その時は「いやあ、隠したって、なんでもわかっちゃうんですよ」と涼しい顔をして契約書を作成してしまうこの社長がなんだかとんでもない男に見えた。
数年後、その不動産屋があった場所は、まったく違う業種のお店になっていた。あの名物社長が今どこで何をやっているのかは、知る由もない。